奈良町のみどころ

奈良町は、観光というより町歩きを楽しむエリア。雰囲気のいい町並みに、小さなお寺や神社が点在しているほか、古い建物を使ったお店に立ち寄れるのも魅力です。奈良旅行に町歩きの楽しみもプラスできるように、奈良町についてチェック。

庚申堂

奈良町の「中心部」ともいうべき、狭い道が曲がりくねって伸びている一角に、家並に紛れて建っているお堂。赤いちょうちんと、同じく赤い人形がビッシリぶら下がっていて目をひきます。中にはいろいろまつられているようですが、非公開なのでよく見えません。

ぶら下がっている赤い人形は、「身代わり猿」と呼ばれる魔除けのお守り。この一帯にある家などを見ると、軒先にたいてい身代わり猿がぶら下がっています。庚申堂は、歴史も由来もよく分からないし、それほど有名なスポットでもないですが、身代わり猿があることで、ある意味とても奈良町らしいスポットといえるでしょう。

十輪院

庚申堂などがある「いちばん奈良町らしいエリア」から、少し東に行ったところに建つ、ひっそりとした感じのお寺。歴史はありながら、観光客もほとんど来ない、静かで落ち着いたスポットです。

門を入った正面にあるのが、鎌倉時代に建てられた国宝の本堂。ほかのお寺の建物より、屋根も縁側もずっと低くて、お寺の建物というより、平安貴族が住んだ寝殿造りの建物のような印象です。中には、仏像がレリーフ状に彫られた石仏龕(せきぶつがん)というめずらしい石造物がまつられていて、まん中に彫られた地蔵菩薩が本尊になっています。

本堂に向かって右側には、ささやかながら雰囲気のいい庭園があります。池を中心にして、まわりに石仏や小さなあずまやなどがあって、四季折々の花を楽しめるいいお庭。境内の拝観は無料なので、奈良町散策の途中で立ち寄って、心休まるひとときを過ごせるスポットです。

福智院

十輪院よりさらに東、バス道路をはさんだ「奈良町のはずれ」に、塀に囲まれた福智院の大きな屋根が見えてきます。福智院もまた、観光客の来ないひっそりしたお寺です。

門を入ると、堂々とした本堂が建っています。鎌倉時代の建物で需要文化財。屋根は2重ですが2階建てではなく、下のほうの屋根は裳階(もこし)という「ひさし」。中にまつられているのは、これまた堂々とした、高さ7mに近い本尊・地蔵菩薩。本堂が大きいのもうなずけます。こちらも鎌倉時代の作で、重要文化財です。

福智院の境内は狭くて、本堂のほかにお参りするような建物はありません。でも、奈良時代に建てられた平城清水寺がもとになっているという、由緒正しいお寺。それに、立派な本堂と「地蔵大仏」とも呼べる本尊を見られるだけでも、拝観する価値はあるでしょう。

奈良町とは?

奈良町は、もともと巨大なお寺「元興寺」の境内だったところ。奈良時代に繁栄した元興寺は、平安時代から衰退しはじめ、室町時代の火事でほとんどが焼けてなくなってしまいました。その跡地に職人たちが住み始め、江戸時代には伝統産業と商業の町になって、作り上げられたのが奈良町です。

古いものでは江戸時代に建てられた建物がたくさん残っていて、古い町並みを楽しめるのが奈良町のいいところ。町家を利用したカフェやショップも点在していて、町歩きを楽しむにはもってこいのエリアです。

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